こんにちは、三洋金属広報部です!
今回は、リサイクル業界で働く方々の姿をもっと知っていただくための企画、三洋金属の社外協力者インタビュー第二弾をお届けします!
お話を伺ったのは、岡山・四国でバッテリー回収業を営む大坪義則さんです。ぜひ最後までご覧ください!
四国から岡山まで回収します!
–まずは大坪さんのお仕事を教えていただけますか。
車両バッテリーの回収業を、かれこれ12,13年ほど営んでいます。それ以前はエアコンの設置や修理などをおこなう空調設備の事業をやっていました。バッテリー回収業と空調設備事業を並行していた時期もありましたが、現在は空調設備事業は息子に引き継いでいます。
–回収エリアは岡山県のみでしょうか?
いえ、現在の居住地が香川県なこともあり、メインはどちらかというと四国です。
ただ、私の生まれが岡山なので、岡山に知り合いが多いんです。その関係で、岡山でもバッテリー回収をしています。
–バッテリー回収業を始めたきっかけはなんですか?
もとは私の妻の父親が、香川でバッテリー回収業をしていたんです。それで、結婚して岡山から香川に引っ越したのをきっかけに、義父の仕事を継いだという経緯です。
–四国に岡山にと飛び回るのは、かなり忙しいのではないでしょうか。
月間のスケジュールを月初に決めて動いていて、「この日は徳島」や「この三日間は岡山」といった感じでやっているので、多忙というほどでもないですよ。それに、最近は車のディーラーさんのオープン時間が9時半や10時と昔よりも少し遅めなので、香川などの近場であればそこまで早起きする必要もないです。
–スケジュールをうまく組み立ててやっていらっしゃるんですね!
一番大切なのは人と人とのコミュニケーション
–空調設備のお仕事からバッテリーの回収業へのシフトは、慣れるまでは大変なことも多かったのではないでしょうか。
そうですね。そもそも産業廃棄物を取り扱うこと自体が初めてだったので、許可の取得から始めなければいけませんでした。
しかも、実際に回収で取引先を回っていると、バッテリー以外にもアルミやさまざまなゴミを「一緒に回収してほしい」と頼まれることが多々あるんですよ。
でも、物によっては一般廃棄物収集運搬の許可が必要な場合もあるので、そんなに安請け合いはできません。なので、回収していいものか否かをその都度調べて、必要なら許可を取りに行って……と、そのあたりは大変でしたね。
ですが、それよりも一番プレッシャーだったのは、お客さんとの関係値でした。
事業を始めた当初、私は結婚して香川に移住したばかりだったので、友達はもちろん仕事の伝手もほとんどない状態からのスタートでした。なので、まずは飛び込みで営業をかけるところから始める必要があるのですが、やっぱりなかなか相手にしてもらえないですよね。どうやったらお客さんの心の扉を開けるんだろうと、非常に悩みました。
–それでも約13年事業を継続されているわけですから、心の扉は開けたんですね。どのような工夫をされたんですか?
最初は価格交渉からしかやりようがなかったです。バッテリー回収の際は、廃棄になるバッテリーを私たちがお客さんから買い取る形になるのですが、その買取価格を「よそよりも少し高く買わせてもらうので」と交渉しました。
そのときに、まだお客さんとの関係値ができていないから、どうしても「こっちは売ってやってんのやぞ」みたいな対応をされちゃうこともあるんですよ。買取価格をふっかけられたり、横柄な対応をとられたり。最初はそれが結構こたえましたね。
お金を払っているのはこっちなのに、「ありがとうございました」って頭を下げるのもこっちで。もちろん買い取らせてもらわないとどうしようもないし、そういう仕事だってわかってはいるんですけど、なんだかものすごく寂しくて。
–頭ではわかっていても、気持ちの面ではなかなか追いつかないところがありますよね。
でも、そういう態度をとりながらも、向こうも本音では私に回収してほしいんですよ。だって、お客さんとしては1円でも高く売れるほうがいいに決まってるじゃないですか。
それに、バッテリーや産業廃棄物の価格は常に変動しているので、価格が下がったらよその人たちはもう引き取りに来てくれないんです。
実際、産業廃棄物の取引価格が下がったときは、誰も回収にきてくれなくなったみたいです。
–正直なところ、廃棄物を抱えていても仕方ないし、タダでも引き取ってくれたほうがありがたいのは間違いないですしね。
一度は私に「お前のとこじゃなくてよそに頼むわ」って言ってた人が、わざわざ「回収に来てくれないか」って電話してきたこともありました(笑)
でも、そういうことがきっかけで関係を築けたりもするから、人間関係って面白いですよね。
–価格が上がっても下がっても変わらずコツコツ回収を続けたことで、信頼を勝ち取れたんですね。
あ、でもこういうのは本当に最初の駆け出しの頃の話ですよ! 今はそんなこともまったくなく、お取引先のみなさんもよくしてくださっています。
お取引先によっては「お金なんていらないのに、ええよ持って帰ってくれて。ありがとう〜」って言ってくれる方もいるくらいです。
–でも、そこまで言ってくれるお客さんがいるというのは、大坪さんのこれまでの積み重ねの賜物です。
もうこの仕事も、お客さんとのお付き合いも長いですからね。今では店長さんや工場長さんだけじゃなく、営業さんなどのほかの従業員の方も、目が合えば必ず「お世話になります」「今日は暑いですね」と声をかけてくれるし、もちろん私からも声をかけます。
なので、この仕事で一番大切なのは、人と人とのコミュニケーションなんでしょうね。
状況を打破してくれたのは、三洋金属が発行するマニフェスト
–大坪さんと三洋金属との関係を教えていただけますか?
バッテリー回収業をやっていた義父が、以前から三洋金属とお付き合いがあり、流れで私も三洋金属に出入りするようになりました。
初めて黒本専務とお会いしたのが、ちょうどバッテリー回収業を始めたばかりで悩みが多かったときだったんです。
–まさにお客さんの心の扉の開き方に悩んでいたタイミングですか?
そうです。ちょうどいろいろと試行錯誤していたタイミングだったので、岡山でお客さんの心の扉を開くにはどうすればいいか黒本専務に相談しました。
そこで私から池上専務に、三洋金属のマニフェストを使わせてもらえないかと掛け合ったんです。
※マニフェスト:産業廃棄物管理票のこと。産業廃棄物を処理する際に不法投棄などが起きないよう、モノの流れを追うための書類。現在は車のバッテリーは有価物であるため不要であるが、三洋金属は自社で管理するために用意している。
私の予測にはなりますが、おそらくほかのバッテリー回収業者さんは、最終処分のマニフェストを発行していない、あるいは発行できないんですよ。
なので三洋金属で発行しているマニフェストを手に、「マニフェストを発行できます」の部分を強みに営業に回り、食いついてくれるモーター屋さんやディーラーさんを探しました。
–マニフェストはどの程度効果がありましたか?
昔は今ほどリサイクルや環境保全が声高に叫ばれていなかったこともあり、マニフェストを知らない人や、説明してもわからない人がほとんどでした。今の時代だと「必要だ、ほしい」とみなさん絶対に仰るんですけどね。
でも、当時はマニフェストの存在すら知られていなかったから、逆にマニフェストを根付かせてやろうと思って、営業先に飛び込むたびにマニフェストを説明して回っていました。「よその回収屋さんよりも高く買います。しかも、マニフェストも発行します」といった具合に。
–公的な書類があるのとないのでは、信用度が全然違いますよね。
まさにそこです。回収したバッテリーを三洋金属に持ち込んで、どのようにリサイクルされて、どういう流れでマニフェストが発行されるのかを説明したうえで「マニフェストは公的な書類なので将来活きてきます、5年間は絶対に保管しておいてください」と説いて回ったところ、少しずつお客さんも信用してくれるようになりました。
マニフェストがあったおかげで、岡山でも四国でも安定的に回収業ができるようになったと言っても過言ではないです。
「三洋金属ほど雰囲気のいい会社はなかなかない」
–大坪さんから見た三洋金属は、どのような会社ですか?
バッテリーの解体って、産業廃棄物の中でも特殊な作業じゃないですか。ここに目をつけたのはすごいですよね……というのを、この間、黒本社長にも直接お話ししました(笑)
–たしかに、まだSDGsもなかった時代からリサイクル業をやっていたわけですし、環境保全とビジネスの両面で先見の明を感じます。
しかも、中に入ってみるとすごく和気藹々としていて、楽しい会社じゃないですか。
あえて直截な言い方をすると、暑いし寒いししんどいし汚れる仕事ですよね。でもみんなそんなのへっちゃらで、従業員の方がいつもニコニコしていて、私が納品に行くと手伝ってくれるんです。
みんな本当に素朴ないい方ばかりで、ハートが真っ白なんじゃないかと思うくらいで。見た目はちょっといかつい人も、話してみたら気さくなんですよね。私も他県を含めさまざまな産業廃棄物の会社に行っていますが、ここまで雰囲気のいい会社はなかなかないですよ。
この間は、三洋金属のボーリング大会に私も参加させてもらいました。三洋金属って、日頃からコミュニケーションがすごく取れていて仲のいい会社なので、そこに自分も加われるのがすごく嬉しくて、本当に感謝しています。
ほかにも、年に1,2回ほど、若い従業員の方に紛れて私も飲みに行かせてもらっています。私はもう62歳なんですけど、若さのパワーをもらえてものすごく楽しいですね。
未来のためにも、行政による認可の徹底を
–大坪さんが思う、リサイクルやバッテリー回収の業界で「今後こうなっていってほしい」といった希望や理想のようなものはありますか?
制度の整備の面になりますが、行政での許可を徹底したほうがいいとは思います。
バッテリーは危険物なのに、行政的な扱いは一般廃棄物なんですよ。一応バッテリー液は危険物扱いではありますが、それでも誰でも扱えるのが現状なんですよね。
なので、きちんと許可を取得した専門業者でないと扱えないようになったほうがいいと思います。でないと、本来は日本国内でリサイクルできるはずのものが海外に流れてしまいますし、現状すでにそうなっています。
–残念ながら、不法な回収業者が存在するという現実もありますね……。
そうなんです。さらに、処理を間違えると環境汚染にもつながります。
それを止めるためには、認可を受けた業者が回収するという決まりを作った方がいいのではないでしょうか。
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バッテリー回収業についてだけでなく、新しく仕事を始めるうえでの心持ちや、お客さまとの信頼関係を築く方法といった、すべての「仕事」に通じるお話を聞かせていただきました!
大坪さんは、「仕事をするうえでは、言われたことや決まったことをするだけの受け身ではうまくいかない」「大事なのはハングリー精神」とも仰っていました。
大坪さん、とても素晴らしいお話をありがとうございました!
三洋金属ではこれからも、よりよい世界を作るために、そして地球環境を保護し持続型社会を作るために、多くの事業者や組織の方々と連携してリサイクル活動に努めて参ります。
リサイクル業界の方へのインタビューは、これからも機会を見つけて続けていきたいと考えています。
今後もぜひ三洋金属の活動にご注目ください!