こんにちは、三洋金属広報部です!
三洋金属では「資源の有効利用」を合言葉に、環境汚染の防止、資源の再利用を推進していくために日々奮闘しています。
今回は、中小企業診断士の松田慎二さんと、三洋金属専務の黒本の対談インタビュー後編です!
後編では、三洋金属の生産性の高さとその秘訣や、リサイクル業界の現状を踏まえた未来について語っています。お見逃しなく!
前編はこちら!
GAFAに匹敵する生産性の高さの秘訣は?
−−ところで、三洋金属の生産性が非常に高い結果が出たと小耳に挟んだのですが、高いというのは具体的にどれくらいなのでしょうか?
松田:生産性の指標で1人当たりの売上高を比較したところ、廃棄物処理業の平均から約4倍も高い数値が出ました。これがどれくらい高い数値なのかをわかりやすく言うと、いわゆるGAFA(米国主要IT企業Google・Amazon・Facebook・Appleの総称)と同等のレベルです。
−−そんなにですか!?
松田:売上高は業界によって平均値が違うため同業界内で比較するのが通常です(※注釈1)。廃棄物処理業の1人あたりの売上高が平均2,000万円なのに対し、三洋金属の売上高は7,000万〜8,000万円と突出しています(※注釈2)。GAFAもIT業界では、ほかの企業に比べて4倍ほど高い生産性です。つまり三洋金属が同業種と比較したときの生産性の高さは、GAFAの水準に匹敵するのです。
※1 売上高は業界によって平均値が違い、卸売系が高く出る傾向にある
参考:https://toyokeizai.net/articles/-/180955
※2 『日本の労働生産性の動向 2021』をもとに比較
参考:https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/trend_full_2021.pdf
黒本:私も松田さんからこのことを聞かされたとき、驚きました。まさかGAFAにたとえられるとは夢にも思わなかったので(笑)
松田:さらに面白いことに、売上高が非常に高いのに対し、1人当たりの会社の利益率は平均よりは低めと逆転した結果が出ています。これは三洋金属の企業としてのあり方をとてもわかりやすく示しているのではないでしょうか。
黒本:これは明確に、会社の利益を追求するよりも、従業員に還元するという方針があるからですね。そのため、売上に対しての会社としての利益率はさほど高くないんです。
−−まさに従業員の幸福度を高めることに力を入れている、三洋金属ならではの結果ですね!例を見ないほどの生産性の高さは、何が要因になっていると思いますか?
黒本:作業がある程度機械化されていることが大きいのではないでしょうか。同業他社では、今も多くの作業を手動で行っているところが少なくありません。しかし三洋金属では私が入社して以降、現在もなるべく手動で作業する箇所を減らす改善が行われています。
松田:作業をオペレーション化していることも大きな要因ではないかと思います。最適なオペレーションが組めていることで、みなさん決められたことを無理なく、きっちりできている印象がありました。ほかには、社員の自発的なスキル取得が、内製化や属人化防止だけでなく生産性の向上にも貢献しているのではと。
黒本:そうですね、オペレーション化とスキルの両面が「誰がやっても同じようにできる」につながっていると思います。
松田:ところで、ほかの会社がなかなか機械化にこぎつけられないのはなぜなのですか?
黒本:色々と理由はあると思いますが、一つは機械をなるべくステンレスで作らなければならないからですかね。我々が扱っている廃バッテリーには廃酸が含まれているんですが、鉄製の機械だと廃酸ですぐに錆びて壊れてしまいます。そのためステンレスで機械を作る必要があるんですが、ステンレスは加工がしにくいのでそのハードルが高い。
その点三洋金属では、部分的には外注しているものの、基本的に自社でステンレスの機械を製作するノウハウがあります。社内にエンジニアもいるので、機械に何か不具合があっても社内ですぐにリカバリができます。そういった部分も、コストを抑えて生産性を上げるポイントですね。
−−たしかに、機械が壊れても外注しか手段がないと、稼働を止めて修理が終わるのを待つしかできないですね。内製化できるというのは、非常に大きな強みだと思います。
鉛のバッテリーがなくなる?三洋金属とリサイクル業界の市場背景
−−三洋金属やリサイクル業界の置かれている状況は、中小企業診断士の目から見て今後どのように変わっていくと予測されますか?
松田:率直に申し上げると、車両バッテリーの市場については、将来的に縮小していくのではないかと考えています。というのも、今は少子高齢化や人口減少が進んでいることから、車自体の需要が下がっているんです。車の需要が下がると、当然バッテリーの取り扱い量も減っていきます。
バッテリー自体も、日々の技術の進歩によって急な様変わりをする可能性もゼロではないため、長期的には車両バッテリーの処理一本で仕事をしていくのは厳しいと予想します。
黒本:おっしゃるとおりだと思います。若者の車離れという言葉もありますし、特に首都圏では交通機関の発達によって、そもそも車が必要ない環境が増えています。車のバッテリー自体も、電気自動車ではリチウムイオンバッテリーという新たなバッテリーに切り替わっています。我々の取り扱う、鉛の車両バッテリー市場が小さくなるのは確実でしょう。
ただ、鉛バッテリー自体がすぐに無くなることはないと考えています。例えば電気自動車にも補助バッテリーとして鉛のバッテリーが搭載されていますし、通信会社の基地局の無停電電源装置で使われている産業用バッテリーはわざわざ比較的危険性の高いリチウムイオンバッテリーに置き換えるメリットがないので、今後も並行して鉛のままではないでしょうか。なので鉛バッテリー市場が縮小することはあれど、ゼロにはならないだろうと思っています。
三洋金属の課題と、将来的な事業方向性について
松田:車両バッテリー市場の縮小にともなって、バッテリーの取り扱い量についてはいずれ頭打ちがきます。長い目で見たとき、三洋金属がこの先も成長し続けるためには、もう一段階別の事業を打ち立てる必要があります。何かしら別のビジネスや新しい領域に出ていくことも視野に入れていいだろうということは、黒本さんにはすでにお話いたしました。
黒本:私も同じ考えです。すぐにどうこうというわけではないのですが、将来を見据えて何かしらの新しい柱を模索していく必要はあると認識しています。
松田:たとえば、三洋金属で取り扱うバッテリーの領域を広げていくことはありえるのでしょうか?素人提案で恐縮なのですが、先ほどおっしゃっていたリチウムイオンバッテリーを取り扱うだとか。
黒本:それができれば一番いいのですが、同じバッテリーでも鉛とリチウムイオンではものがまったく違うので、難しいんですよね。鉛バッテリーは鉛しか入っていないので、構造が単純です。しかし、リチウムイオンバッテリーは様々な金属が合金化されていて複雑なので、鉛バッテリーと同じ処理ができないんです。
そのため、もし鉛バッテリー以外のバッテリーを取り扱うとなると、今ある設備をすべて撤去するか、別の土地に新しい工場設備を作るかという非常に規模の大きな話になってしまい、参入のハードルが高いんです。しかもそれだけの投資をしたところで、会社を存続できるほどの収益が出せるかというと、正直厳しい。なのでバッテリーにこだわらず、もう少し広い目線で別の領域を模索してみてもいいかなとは思っています。
松田:いろいろな角度から検討をしたうえで、やるやらないのジャッジができることは非常に大切だと思います。三洋金属が今後どんな事業をやることになっても、社会的に重要な役割を果たす会社であることは変わらないと思います。企業診断士としても友人としても応援していますので、悩んだときにはいつでも相談してください。
−−最後に、中小企業診断士という外部の視点で会社を分析してもらって、いかがでしたか?
黒本:ここ1〜2年の間に、人力で残っていた作業の機械化を進めたことで、1日に処理できる量が増えていることは体感として感じていました。しかし今回こうして、内部の事情をご存知ない方の客観的な分析のうえで、生産性の高さが数字として示されたことがとても嬉しいです。
いいところだけでなく、将来的な課題も提示していただけたので、非常に意義のあるアドバイスをいただけました。
これからも従業員に満足して働いてもらえるように、そしてリサイクル業に従事する会社として社会に貢献できるように、一層邁進していこうと思います。
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前後編にわたってお届けした中小企業診断士との対談インタビュー、いかがでしたか?
三洋金属ではこれからも、よりよい世界を作るために、そして地球環境を保護し持続型社会を作るために様々な新しい挑戦を行って参ります!