工場の内部に潜入!バッテリーのリサイクル作業をお見せします

こんにちは、三洋金属広報部です!

三洋金属は1959年の創業以来、地元岡山県で非鉄金属を中心としたリサイクル・中間処理事業を行なってきました。
「資源の有効利用」を合言葉に、適切な処理と徹底した配慮による環境汚染の防止、限りある資源の再利用を推進していくことを目的に日々活動しています。

しかし、リサイクル業と聞いて具体的な仕事の内容や作業工程が思い浮かぶ方は、あまり多くないのではと思います。

今回は皆様の『バッテリーのリサイクル作業ってどんなことをするの?』という疑問にお答えすべく、三洋金属の事業のひとつである「自動車用バッテリー(以下、バッテリー)の解体」の現場に潜入しました!
作業工程について、写真つきでわかりやすく解説していきます!

準備

1.  作業準備

まずは作業に入るための準備からです!

リサイクルの作業工程では、様々な液体や粉塵が飛散し人体に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、作業員はみな厳重な装備をします。

作業着、安全ヘルメット、防塵マスク、安全長靴、ゴム手袋、保護メガネを着用。季節を問わずこれらを装着する必要があるので、真夏の作業はとっても暑いです…!

 2. 荷降ろし

下請けの方が、回収したバッテリーを三洋金属に運んできてくれます。
主な回収先は車のディーラーや車検場、カー用品専門店などです。他にも専門の回収業者からの持ち込みもあります。

トラックの形状によって荷下ろし方法が変わります。
側面(アオリ)が倒せるトラックはリフトで、側面が倒せないトラックは天井のクレーンで荷下ろしをします。

荷下ろし作業の際、というかすべての作業において、バッテリーから希硫酸という有害な酸性の液体が漏れ出てくることがあります。

しかし、三洋金属の工場の床材は全面が「ステンレス・ゴム板・強化ガラス繊維」を用いた3層構造になっていて、この床構造により有害成分が土壌に染み出すのを防ぎます。

三洋金属の床構造についてはこちららでも詳しくお話ししています!
SDGsにおける三洋金属の取り組み

バッテリーの解体作業

3. 解体ラインへ投入

下準備を終えたら解体作業に入ります!
まずはフォークリフトを使って、振動機にバッテリーを投入します。

このバッテリー、当然ながら重いです(笑)
数も非常に多く人間の手で1つずつラインに載せるのは難しいため、振動機を使ってラインに載せていきます。

ちなみにバッテリーの解体作業は、岡山県では三洋金属しか行なっていません。
そのため三洋金属に納入されるバッテリーは、多いときで1日100tになることも!
1日に処理できる量は限られているので、過剰に引き受けすぎないように納入制限を設けて調整しています。

4. バッテリーの切断

まずはラインに載せられたバッテリーの上蓋部分を切断します。
輪っか状のカッターで上蓋を切り、切った上蓋は手作業で外して本体と分けます。

切り分けた上蓋と下部はそれぞれ別でリサイクル処理を行うので、上蓋は一時的に別の容器で受けます。
これにより、あとのラインにはバッテリーの下部だけが流れていきます。

5. バッテリーから鉛を取り出す

バッテリー下部は、ラインの山を登っていきます。

バッテリー下部には希硫酸と鉛が入っていて、この山から降りるときに本体の天地を逆さまになり、中に入った希硫酸を落とします。

希硫酸を除去したあとの下部は、鉛だけが残っている状態です。
この鉛がケースの中で膨張してつっかえているので(長年使ったガラケーの電池パックを想像していただくとわかりやすいと思います。笑)、振動機にかけて鉛を振動で落とします。

ちなみにこの時、振動機部分を担当していたのは岡本さんです。

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この過程を経ることで、バッテリー下部は外装のプラスチックケース、希硫酸、鉛に分別されます。

取り出された鉛は、専用の堆積所で保管します。

6. 鉛の出荷

バッテリーが解体でき、一定量の鉛が貯まったら、大型トラックに積み込んで精錬所に出荷されます。
ちなみにこの時、リフトで鉛の積み込みをしているのは勤続20年目のベテラン・押目さんです!

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そして、大型トラックの運転を担当するのは運輸部門課長の脇本さんです!

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精錬所で引き取られた鉛は、電気分解を経て純度を高め、鉛のインゴットに精錬されます。

そして、鉛のインゴットはバッテリーメーカーにより再び車のバッテリーへと形を変え、世の中に出ていきます。

バッテリーはリサイクル率100%

7. 上蓋とケースの破砕、分別

バッテリーの解体ラインで分別された上蓋と外装であるプラスチックケースは、鉛とは別の堆積所に移されます。

上蓋には電極として純度の高い鉛が使用されていたり、ケースのプラスチックもリサイクルできるので、 更に分別していきます。

まずはこれらの上蓋とケースを、破砕機まで運搬して破砕します。

破砕機には猫の手が連なったようなハンマーがついていて、これが上蓋やケースを粉々にしてくれます。

破砕機で破砕された上蓋の電極の鉛は、専用のラインを流れ、フレコン袋に貯まります。

この電極の鉛もバッテリー内部の鉛と同様、精錬会社に出荷し、再びインゴットとなり、最終的にバッテリーの原料になります!

破砕された上蓋とケースのプラスチックも、専用のラインを流れ、フレコン袋に貯まります。このプラスチックは専門の樹脂会社へ出荷し、再び車のバッテリーのケースに生まれ変わります!

9. バッテリーに入っている希硫酸もリサイクル

最後は「5. バッテリーから鉛を取り出す」で除去した希硫酸の処理です。
バッテリーから流れ落ちた酸は場内の水路に落ち、最終的に「ピット」と呼ばれる廃酸を貯めるための桶のようなものに集められます。

1〜2日でピットがいっぱいになるので、ポンプとホースを使って廃酸を出荷用のステンレス製の容器に移します。

こうして貯められた廃酸は、なんとマンションなどの壁の原料である石膏にリサイクルされます。
廃酸が壁材に生まれ変わるなんてびっくりですよね!

人々の安心な暮らしと地球環境を守るため

以上がバッテリーの解体とリサイクル作業の大まかな流れでした!
三洋金属では自動車用バッテリーの他にも、通信会社の基地局に使用されている産業用バッテリーの処理も行っていますが、同じラインで作業をすることはできないので専用の別ラインで作業を行います。

基本的な作業は自動車用バッテリーと同じなのですが、自動車用よりも人の手が多くかかるのでこちらも大変手間のかかる作業です…!

さいごに

バッテリーのリサイクルは手間と時間がかかるだけでなく、作業工程で人体への様々な危険が伴います。
のみならず、処理をしっかりと行わなければ、地球の環境を汚染してしまう危険もあるのです。

環境を守るためのリサイクルの過程で、環境汚染が起きてしまっては元も子もありません。
三洋金属は地球とその貴重な資源を守るために、そして社員の健康を守るために、安全な作業環境を徹底して維持し、工場の設備も日々アップデートしています。

従業員が安心して働ける環境を作るために。そして、人々の安心な暮らしと地球という大切な財産を守るために。
三洋金属はこれからも、リサイクル活動や、様々な社会課題の達成に向けてチャレンジを続けていきます!

今後とも三洋金属の活動にご注目ください!